タイ人に教えて貰った人生を楽しく生きる為の2つのヒント

タイのススメ, 海外で働く

タイで働き始めてもう数年が経った。

今思うとあっという間だったが、働き始めた当初、今でも忘れられない大きな問題が職場で起こった。

その時にあるタイ人に言われた言葉が今の私がタイで働く上で重要な考え方の根底となっている。

そして、タイで暮らし、タイ人を見ていて強烈に感じる事がある。

タイ人と働き、彼らから仕事だけでなく、人生を生きる為にも重要な事を教えて貰っている。

今回このあるタイ人に教えて貰った言葉とタイ人を見ていて私が考える人生を楽しく生きる為の2つのヒントについて記載していきたい。

タイの職場で大問題が発生

私はタイでIT会社の営業を担当している。
タイで働き始めた当初、大きな問題が客先で起こった。

私の会社が責任者となり、新たなネットワーク機器を既存の機器と切り替える作業を行った。

切り替えは無事に終わり実際にシステムを稼働させたその当日に工場の生産ラインを管理するシステムが止まり、
最終的に顧客の工場の生産ラインを1日止めてしまう事態となってしまったのだ。

この会社の生産ラインは秒、分単位でコンベア等の生産計画が組まれていて
数分の生産ライン停止でも百万円単位の損害を与えると言われていた。

生産ライン

それを1日も止めてしまったのだ。
具体的な数字は未だ教えて貰っていないが、顧客先の損害額は億を超えていたと思う。

工場の生産ラインを止めるという事は絶対にあってはならない事なのだ。

あるタイ人から言われた言葉

この問題を早急に解決する為、会社のディレクターが直接指示する組織形態で私と会社のスタッフで現場の工場に向かった。

そして、工場に着くなり、さっそく工場の日本人責任者と生産ラインのITを管理する顧客のタイ人のマネージャと話をする事になった。
工場の責任者はIT、生産ライン管理システムの事は全く分かっていない。

一刻も早く直せと怒鳴りちらすだけだった。
いつもは優しいオジサンが完全にいつもとは異なるキレた人に変貌していた。

angry_man

私は冷や汗びっしょりで工場長と話すときも言葉が震えていた。
完全にビビりまくっていた。
そして、まだ働き始めたばかりであった為、工場生産管理システムの事もよく分かっていなかった。
ビビりまくりの焦りまくり状態だった。

焦り

ただクリティカルな問題であり、一刻も早く直さないといけないという事だという事は理解していた。

私、会社のスタッフ、そして顧客のタイ人IT部署マネージャで問題の特定と解決を一刻も早く行う事を命じられた。

ネットワーク機器の切り替えとは別に生産管理システムのサーバーバージョンアップも同日に行っていた為、
ネットワーク周りだけでなく、サーバーシステム自体にも問題が無いのかまずは問題の切り分けを行った。

生産管理システムを完全に止めサーバーシステム単体でのテストを行ったが、
顧客のIT部署マネージャ曰く問題はないとのことだった。

そして、並行する形でネットワーク周りもスニファーを各地点に設置して障害解析を行った。
これも問題なかった。

しかし、実際にサーバーとネットワークをつなげた状態で再度クライアントのシステムを動かすと動くのだが、
明らかにレスポンスが遅く、何かがおかしい状態のままであった。

既に解析をして半日近く経過して、半日も工場ラインが止まっている状態だった。

絶望

焦りの極限に達した

何かしらの問題の特定が出来ると想定していたが、いざ確認してみると解決の糸口が見えず、色々な事を考え始めた。
既に工場長から怒鳴られた際に冷静さを失っていたが、この状況に陥り、さらに私は焦りだした。

  • この時点で物凄い損害額になっているだろう
  • 顧客だけでなく、会社にも迷惑がかかる
  • このままでは会社はクビになるかもしれない
  • まだ、タイに来たばかりなのに
  • もう日本に帰るのか

私は元々鬱病体質な所があり、物事を物凄く深刻に考えてしまう。

悪い方、悪い方へとネガティブに考えてしまう思考を持っていた。

タイ人マネージャーとの会話

色々な事が頭をよぎり、極度の焦りの状態からパニックに陥った

焦りマックス

そして、そんな私の状況を見て、顧客のタイ人マネージャーは私に話しかけてくれた。

タイ人マネージャー:

『慌てても仕方ないですよ。
今やれる事だけをやるだけですよ。』

 

この言葉を聞いた時、何を能天気な事言ってんだと思った。
私は相当焦った状態にあったが、このタイ人マネージャーはまるで焦っていなかった。

怒ってもいなかった。私とは真逆の全くの平常心であった。
私はこの平常心を保っているタイ人マネージャへ煽るかのようにこう言った

:

『既に半日も工場が止まっているんですよ、
工場長になんて話すんですか?
大変な事になりますよ』

内心このタイ人マネージャが全く焦っていない事に腹を立てていて
大問題であることを認識させる必要があると感じていた。

タイ人マネージャーは若干笑いながらこう言った。

タイ人マネージャー:

『大問題であることは分かっていますよ。
でも今は原因がわからないし、仕方が無いですよ。
マイペンライですよ。』

 

これを聞いて、私の怒りは頂点に達した
怒りマックス
もうこのタイ人に何を言っても無駄だ。
何もわかっていないし、タイ人は本当駄目だと感じてしまった。

もうそれ以上このタイ人との会話はせず、
私は深夜までハードウェア不良も視野に入れつつ、ネットワーク機器周りのテストを行い続けた。
そして、ついに問題のコンフィグ設定を見つけ、設定変更を行い、全てのシステムをつなげてテストした所正常に稼働するようになった。

解決までに1日ほどかかってしまった。

時間は掛かってしまったが、なんとか自力で解決が出来た。
私はこの時にタイ人は頼りにならず、自分の力で、自分一人で仕事を回していかなくてはいけないと感じていた。

バンコクで働き、数年が経ち、今改めて思うタイ人の言葉。

そして、その問題が起きてからタイで働いて数年が経った。

この生産ラインを止めるまでの問題は起こっていないが、大なり、小なり色々な問題が起こった。
タイの職場でタイ人と働き、タイ特有とも言える数々の問題にも直面してきた。

タイでも色々な経験をしてきたと自分なりには感じている。

そして今私が強烈に感じる事が2つある。
まず、あの大問題が起こった時に顧客のタイ人マネージャーに言われた言葉。

1.今やれるだけのことをやる
2.そして、平常時と全く変わらなかった対応

今やれるだけの事をやる。
この言葉の本質は今を精一杯生きるという意味があると思っている。

そして、何が起こっても決して悲観的にならない事。
どんなに悲劇的な事が起こっても常に平常でいる事。もしくは笑うように努める事。

あの時のタイ人マネージャは正にこれを実践していた。

タイ人から学んだ今、強烈に感じる2つの事

私がタイで数年働いてきて率直に思うのはタイ人は今を大切にする人たちであり、
そしてすべての物事に対して楽観的、ポジティブ思考をもっていると感じている。

タイ人は今を大切にする全てにおいて楽観的な人達

タイ人は何に対しても非常に楽観的だ。
悲劇的な事に対しても笑って過ごそうとする。

ThaiSlumSmile

街で寝ころぶ子供達、スラムに住む人達、物乞いをする老人たち

どんなに貧しかろうが、辛かろうが、あまり複雑な事はまず考えない。
考えても仕方ないし、深刻にならず今を生きる。
タイ人は今を非常に大切にしている、今を生きる人たちだと強く感じる。

Positive

過去は既に終わった事

辛いときは何とか良いことが起きるよう、神頼みなのか、
お寺にお布施に行ったり、自分の名前を変えたりしていい方向に持って行こうとしたりしている。

最悪な状況でももがき苦しむのではなく、悪いときが過ぎるのを待っている感じだ。

タイ人はどんなにつらい過去があろうが、過去にとらわれずに生きている。

私自身過去の嫌な事が忘れきれずに生きて来ていて
日本では鬱病も発症する心配性のネガティブな人間だった。

私と全く逆の考え方、生き方をしているのがタイ人なのだ。

未来はどうなるか誰にも分からない

未来なんてものはまず来ないかもしれない。
1年後は死んでいるかもしれないし、
明日まですらも生きている保証なんてない。
タイ人は未来の事も気にせずに生きている。

タイ人の生き方

thai-smiles

タイ人は辛い過去にも色々と考えなければならない未来にも囚われない生き方をしている。
私は今、このタイ人の生き方を見習い、以前とは全くの逆の考え方、生き方をするようになった。

過去の事は全くではないが考えなくなり、未来の事もあまり考えていない。
これから他の国に移住するかもしれないし、日本に帰国して日本で働くかもしれない。
全く分からないし、計画もしていない。

ただ、今はタイにいるのが仕事、プライベートでもめちゃくちゃ楽しいからタイにいるだけだ。
今を最高に楽しんでいる、充実していると感じているからタイにいる。

1.タイ人の今を生きるという事、

2.そして何事にもポジティブになる事
この二つが私が今自分の人生を生きているうえで重要な考え方となっている。

今を精一杯生きる

今もし以前起こしてしまった工場のラインを止めてしまった時と同じような大問題が起きて、

以前の私のように慌てふためく人間を見たら笑いながら話しかけてあげたいと思う。

今やれる事だけをやるだけですよ。

Everything OK

タイに来た当初、全く駄目だと思っていたタイ人から言われた言葉が、今は私の人生を生きる為のヒントの言葉となっている。

今、私はタイの社会、文化にも慣れて来て、タイ人の生き方をまねる事によって
最高に今をエンジョイできるようになった。

これからもタイ人から教えて貰った言葉、2つの考え方を大切にしていきたい。