日本人サーファーが世界の舞台WCTへ出場する為に必要な6つのこと
日本人がWCT入りする日は来るのだろうか?
野球の世界ではWBLで日本は連覇したし、サッカーの世界でもワールドカップに毎回出場できるまでのレベルに来た。
テニスだってゴルフだって日本人が世界では活躍している。
しかし、サーフィンに関してはまだまだ世界との差は大きい
サーフィンはけっしてマイナーなスポーツではない
日本のサーフ人口は100万人はいるだろう。
他のメジャーなスポーツと比べても、見劣りしない競技人口である。
そして、日本のサーフィンの歴史も古い。
今までにも数多くの偉大な日本人サーファーが生まれてきていた。
しかし、未だかつて日本人では誰もWCTには出場できていない。
なぜサーフィンでは世界で活躍できる人材が出てこないのか?
今の日本の環境に大きく依存していると考えている。
日本人がWCT入りする為に必要な6つのこと
今回日本人がWCT入りする為に必要なことを真剣に考えてみた。
順に説明していきたい。
その1.プロサーファーという職種に夢を与える
私はサーフィンを始めた際にある一人のプロサーファーに師事していた。
そのプロサーファーはサーフィンはめちゃくちゃ上手かった。
サーフィンに対する姿勢も非常にストイックで海や自然などの環境問題にも詳しくサーファーとしてだけでなく、人間として尊敬していた。
私は大学時代、このプロサーファーの先輩みたいにサーフィンがうまくなりたいと日々海に通っていた
しかし、この先輩は結局プロサーファーという職種では食って行けず、最終的に一般のサラリーマンになった。
プロサーファーと言えば聞こえが良いが、はっきり言って全く夢がない職種なのが現状だ。
年6回行われるプロの大会の賞金だけで食べて行っているプロはほぼいないだろう。
一番貰っているサーファーで300万位だ。
プロサーファーの中で頂点に立って300万円なのだ。
ハッキリ言って激安だ。夢なんてありゃしない。
そして、サーフィンは体力消耗が激しいスポーツだ。
プロとして第一線で働けるのは数年だろう。
サッカー選手よりも短い。そしてお金もべらぼうに安い
これが今の日本のプロサーファーの現実なのだ。
純粋にプロサーファーとして試合を勝ち抜くだけでは生きていけない。
ショップ店員をしたり、自分で店を持ったりして食べていかないといけない。
これでは本業のサーフィンの練習などにしっかり打ち込めない。
もし、公務員とプロサーファーどちらになりたいかと問われればサーフィンが大好きな自分でも公務員を選ぶだろう
こんな状況ではプロサーファーになりたいと思う子供、これからの世代のサーファーは生まれてこないだろう。
せいぜい親がサーファーで子供に英才教育をしてサーファーとして育てる位だ。
実際プロのサーファーは親がサーファーで子供にサーフィンを教えるというパターンが多い。
そして、今のプロサーファーはみなお金の為だけにプロサーファーになっていない。
しかし、私はやはりプロ野球やサッカー選手のようにお金をしっかり払う事も重要だと考えている。
子供からなりたいと思わせる夢を与える職種にして、純粋にプロサーファーになりたい人を増やす。
そして、日本人プロサーファー全体のレベルを上げる。
その2.メディアがサーフィンをもっと取り上げて、メジャースポーツにさせる
同じ横ノリ系スポーツのスノーボードはオリンピックにも日本人が出場して活躍している。
そして、メディアは一斉にスノーボードの事をニュースで取り上げている。
しかし、サーフィンでは日本人が世界的にも有名な大会で結果を残しても全くといって報道されない
今までにも小川直久が名誉あるハワイのパイプラインの大会で満点ライドを出したり、脇田貴之がエディアウカウのメモリアルコンテストに出場したり、田中樹がWQS6スターで3位入賞したり、偉大な結果を出してきている。
しかし、一切日本のメディアでは報道されなかった。
これらの偉業をニュースとして取り上げたのはサーフィンを取り扱うメディアだけだった。
サーフィンをしている人からすると物凄い偉業だ。
日本のサーフ人口は多いが、まだまだメジャーなスポーツと言えないのがサーフィンだ。
日本にもプロ野球やJリーグのようなJPSAというプロ組織がサーフィンにもある。
JPSAの試合内容や結果もスポーツニュースで取り上げたりして、サーフィンにもプロ組織がある事を認知させて欲しい
ニュースでなくても芸能界ではサーフィンを趣味としている芸能人がいる。
キムタク、坂口憲二、真木蔵人など芸能界でもトップに位置している人たちがサーフィンをしている。
サーフィンを趣味とする芸能人を主演にして、サーフィンを基にドラマや映画を作っても面白いかもしれない。
とにかくもっと認知してもらう必要がある。
なんとなくサーフィンというのはアンダーグラウンド、ちょっとヤバい感じの人たちが好むスポーツという所がやっぱりまだ存在している。
実際は物凄く健康的で且つ自然の素晴らしさを知ることが出来るスポーツなのに、悪いイメージが世間一般の人に浸透してしまっている。
こういったイメージも払しょくする必要がある。
サーフィンを今よりももっとメジャーなスポーツにする必要がある。
メジャーにすることによって競技人口が増えて、日本人サーファー全体のレベルが向上する
その3.日本の大手スポーツメーカーがスポンサーとしてバックアップする
日本のプロサーファーの給料は基本的には大会で獲得した賞金とバックアップしているスポンサーからの契約金で支払われる。
スポンサーはバックアップしているのだが、実際はサーフィンをするための道具を提供することが主なバックアップでお金は微々たるものだ。
プロサーファーなのにサーフショップでバイトしたり、自分の店を持ったりしてやりくりしているのが実情である。
WCTに入るためにはその前段階のWQSで世界を周り結果を出さないといけない。
これは金がかかる。
自費では厳しいだろう。
実際今の日本人プロでWQSをしっかり出場しているサーファーは10人もいないだろう。
金銭的な問題があるからだ。
今の日本ではサーファーをバックアップする体制がまだまだ整っていない
サーフメーカでなくとも、車やファッション業界でもいい。
とにかくもっと日本人プロをサポートする体制が必要だ。
実際サーフィンをする上で絶対に欠かせないのは車だ。
ハイエース、エルグランド、ステップワゴン等々サーファーに人気の車がある。
トヨタやホンダなどのカーメーカーがサーファーをサポートするのも面白いかもしれない。
サーファーをサポートすれば、メーカーにもメリットがあると思う。
もっとメジャーなスポンサーが金銭的にも余裕がある体制でWQSが周れるように日本人トッププロをサポートする必要があるのだ。
その4.サーフィンのコーチングシステムを整える
現状の日本のサーフィン界は正式なコーチングなどのサーファーの教育制度が整っていない。
サーフショップの店員が初心者にサーフィンを教えている。
日本のトッププロであれば、WCTに出場した経験のある海外のサーファーをコーチとしてつけて、WQSを周るべきだ。
WCTに出場した選手であれば経験もあり、どのように世界で戦えばいいか明確に助言をしてくれるだろう。
未だ日本人ではWCTに参加した、WQSを勝ち抜いたサーファーはいない。
日本人では誰も経験出来ていないので随所で的確なアドバイスが出来ない
海外からコーチを招いてWQSを周るべき。
そして、トッププロ以外にもサーフィンをしっかり学びたい人たちのために資格制度を導入すべきだ。
今の日本はショップの店員が営利目的でスクールを開いている事が俄然多い。
実際に教えられるに値する人が教えてないのが実情だ。
どんなにサーフィンが上手くても、人に教えるのはまた別モノだ。
サーフィンが下手でも人に教えるのが上手い人もいる。
日本のサーファーの総人口の底上げとしある程度の資格制度を導入してきちんとした教育制度を設ける必要がある。
その5.サーフボードのコストを削減する
サッカーであればサッカーボールひとつあれば練習が出来る。
野球であればバットひとつもしくはグローブと野球ボールがあれば練習が出来る。
サーフィンに関してはサーフボードが必要だ。
そしてこのサーフボードは正直に高い。
なんでこんな高いのかと言わざるを得ない。
海外 ハワイ、ゴールドコースト、カリフォルニアと比べても日本のサーフボードは高い。
サーフボードが高いので迂闊にサーフィンを始められる環境に無い。
サーフィンは敷居が高いスポーツとなっている。
私も大学時代に何本も板を買った。
ショップの店員に言われるがまま、借金までして買っていたのだ。
オーダーメイドで15万くらいしていたと思う。
大学生にとって15万はかなりの痛手だ。
果たして値段が妥当だったのかは今でも分からない。
しかし、サーフトリップで海外に行くと同じようなスペックの板が3分の一くらいで売られていた。
世界を知らなかったが、無知な自分が悪いと思ったが、純粋になぜこんなに日本のサーフボードは高いのか疑問が残っていた。
なぜ日本のサーフショップがあそこまでサーフボードを高くするのか理解に苦しむ。
そして、海外で板を買うことを非難する。
日本のサーフショップは日本用じゃないから外国のボードでは日本の波に乗るのが難しいと助言する。
確かに日本と海外の波では波の強さ、パワーが異なる為日本でボードを買ったほうが良いかもしれない。
しかし、はっきり言うと初心者や中級者は関係ない。
中級者レベルで板の違いで実力は変わらない。
初心者、中級者でやたら板やフィンに関してウルサイ人がいる。
最高にいい板を使っていても、初級者がいきなりエアーやチューブライドできることなんてまずない。
いい板を乗れば確実に上手くなるということもない。
大切なことは海に何度も通ってサーフィンすることだ。
板の質、クオリティは関係ない
サーフボードのクオリティを追求していくのは上級者からで十分だ。
上記のようにサーフボードは現状誰にでも買えるような価格になっておらず、敷居が高い。
もっとサーフボードのコスト競争を起こさせて、値段を下げ多くの人にサーフィンをしてもらう必要がある。
日本人サーファーの底上げを行う
その6.波のある国で極力サーフィンをする もしくは移住して海外を拠点にする
最後となるが、サーフィンが上手くなるためにはいい波が必要となる。
日本にもいい波はくる。
しかし、その数は絶対的に少ない
オーストラリアやアメリカに比べたら、波の質も量も何もかも日本は勝てない。
ヒザ・コシの波で10回海に入るのとムネ・カタの波で1回海に入るのでは後者の方がサーフィンが上手くなる。
もちろんクソ波でも練習にはなる。
しかし、グラッシーなマシンウェイブで何度も同じような波に乗った方が良い。
身体がサーフィンを覚えるのが早くなる。
そして、海外のサーファーはレベルが高い。
とくにカリフォルニアのサーファーは驚く程一般サーファーのレベルが高い。
私自身カリフォルニアのトラッセルズで波がめちゃくちゃ決まっている時にサーフィンしたが、余りのレベルの高さに驚きを隠せなかった。
日本の海では初級者から上級者まで幅広いが、カリフォルニアはもうほとんどが上級者だった。
トラッセルだけでなく、ほかのポイントのサーファーも皆驚く程、サーフィンが上手だった。
このようなレベルの高い環境に自分を置く事によってハングリー精神が芽生え、サーフィンに対してストイックになり、レベルが向上する。
大澤伸幸は茅ヶ崎出身だが、オーストラリアで武者修行をして日本のトッププロになった。
五十嵐カノアはカリフォルニアでサーフィンの英才教育を受けて、レベルの高いカリフォルニアのサーファーにも認知されるサーファーとなっている。
海外に出てサーフィンをする事が世界で戦う実力を付ける為に重要なのだ。
最後に
日本のサーファーが日の丸を背負って世界最高峰のWCTの舞台で海外のトップサーファーと戦う日を夢見ている。
おそらくいづれ誰かしらがこの偉業を成し遂げると信じている。
そのために日本のサーファー全体がサーフィンに対して真剣に向き合う必要があると思う。