海外移住とはタイムマシンに乗り、時間を超えて旅をするという事
海外生活が長くなった。
日本を出て、もう数年が経過した。
今、海外移住ということについて、僕は一つの結論を出している。
もし、海外移住とは何かと聞かれたならば、僕はこう伝えたい。
海外移住とはタイムマシンに乗り、時間を超えて旅をする事だということ。
日本を離れ、海外移住をすると、いい意味でも、悪い意味でもタイムマシンに乗った感覚に陥る。
海外移住を人に勧められるかどうかはやっぱり自分次第なのだと今強く感じる。
僕自身は多くの人におすすめしたいとは思ってはいるが、やはりリスクも伴う。
今回は僕が考える海外移住について、持論を述べていきたい。
もし、今海外移住を考えている人に少しでも何かのヒントになって貰えたらな嬉しいなと思います。
1000年以上語り継がれている日本の昔話
まず、海外移住の話をする前に日本の古くから語り継がれている浦島太郎の物語を紹介させて頂きたい。
浦島太郎の物語
知らない人はいないとは思うが、浦島太郎の話をここでまず簡単に紹介したい。
この浦島太郎の物語は母親と二人で生活する漁師であった主人公の浦島太郎が、浜辺で子供達が亀をいじめているところから物語が始まる。
漁に出ようとしていた浦島太郎はある浜辺でイジメられていた亀を助けた。
そして、亀は助けて貰ったお礼として浦島太郎を竜宮城に案内したいと申し出た。
浦島太郎は漁をしなければならなかったが、少しならという軽い気持ちで亀と一緒に竜宮城に行く事にした。
そして、亀が案内した海底に存在する竜宮城で、乙姫そして多くの人々が浦島太郎を歓迎した。
浦島太郎は楽しい多くの時間をこの竜宮城で過ごした。
楽しい時間がしばらく経ち、浦島太郎がふと母親の事を思い出した。
そして、自分の家へ帰りたい気持ちが沸き上がり、亀そして乙姫へ地上へ帰る意思を伝えた。
乙姫そして多くの竜宮城の人達に惜しまれたが、浦島太郎が地上へ戻ることを了承した。そして、『絶対に開けてはならない』と伝え、お土産として玉手箱を浦島太郎へ渡した。
そうして、浦島太郎はいじめられた亀を助けた浜辺に帰った。
しかし、浜辺に着くと少し周囲の様子が異なる事に気づいた。自宅に戻ってみても家自体もなくなっており、一緒に暮らしていた母親もいなかった。
周囲にいる人に話を聞いてみても、浦島太郎が知っている人は誰もいない状態になっていた。
浦島太郎は途方に暮れた。そして、ふと、乙姫から貰った玉手箱が目に入った。
絶対に開けてはならないと伝えられたが、周りに知っている人が誰も居ない浦島太郎は開けてみる事にした。
浦島太郎が玉手箱を開けると、中から煙が発生して、煙を浴びた太郎はなんと、老人の姿に変わってしまった。
老人になった浦島太郎は海辺に座ってぼんやりとするしかありませんでしたとさ。
お終い。
え
えっ!えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
お、
おっ、おしまい!?
なんじゃぁこりゃぁぁぁ
これから一波乱ありそうな展開だったけど、おしまい?!
浜辺で途方に暮れておしまいってどんなおしまい!
どんな終わり方やねん!
めでたしめでたしでもなければ、教訓めいたバッドエンドでもないし、この物語は一体何を伝えたいねん!
日本の子供達に一体何を伝えたいねん!
1000年の間、日本の子供達に何を伝えてたやねん!
何で亀助けたのに最終的に母親にも会えず、老人になっちゃう嫌がらせ受けてんねん!
因果応報の逆バージョンやん!
玉手箱を開けてはいけませんの意味が分からんやろ。
そんなお土産渡すなや!おかしいやろ!
親切にした人に対して、何でこんなひどいちゃぶ台返しかましてんねん!
直ちに浦島太郎の物語の内容を改正してください!お願い申し上げます!
私だけに限らず、あなたも浦島太郎の物語を初めて聞いた時、こういう風に思いませんでしたか?
ツッコミ所満載の話としてとても有名な物語ですよね。
子供の頃に聞いたこの物語は大人になった今でも未だに何が言いたかったのか良く分かりません。
でも、今この理不尽な浦島太郎の昔話は海外移住した私にとってとても考えさせられる教訓めいた話になっています。
その理由を次に説明していきたいと思います。
海外移住した日本人たちの物語
先にお話しした浦島太郎の話は海外移住にも同じような話が言えるのです。
海外移住とは日本を離れて海外で生活する事です。
これを浦島太郎の話に言い変えると日本が浦島太郎が住んでいた地上で海外が竜宮城です。
浦島太郎は亀を助けたお礼として竜宮城に好奇心を持って行きました。
海外に移住した日本人も浦島太郎と同じように好奇心を持って海外に移住しています。
少なくとも嫌で仕方ない状態で海外に移住した人はほとんどいないと思います。
そして、海外移住した日本人は浦島太郎が竜宮城で過ごしたように海外で生活をします。
海外生活では浦島太郎のように大きな歓迎を受けるとは言えません。海外では良い事だけでなく嫌な事も楽しいことも色々と経験します。
そして、時が経ってある時浦島太郎が地上に戻りたいと感じたように日本へ戻りたいと思う日本人が出てきます。
実際に僕の周りでも海外移住したけれど、抱いていた理想と現実が異なり日本へ帰国した人たちがいました。
海外生活から足を洗って日本へ帰国します。
ここまでは浦島太郎の話と似通っています。
しかし、海外移住し日本へ帰国した日本人には浦島太郎の物語とは異なり、二つの結果があります。
海外移住し、のちに日本へ帰国した日本人の二つの結果
日本へ帰国した日本人は共通して日本が非常に進歩している事に気が付きます。街の風景が変わったことに驚きます。同学年の人たちも日本を離れた時とは大きく変わっている事に気が付きます。
しかし、ここで結果が二つに分かれます。周りを見て、今の自分よりも大きく成長していると感じる人と自分の方が成長している人の二つのタイプがあるのです。
日本に帰国した日本人は浦島太郎の物語の結末と同じように途方に暮れてしまう人もいます。一方、浦島太郎とは異なり海外での経験を生かして活躍する人もいます。
つまり何が言いたいかというと、海外で生活すると日本で生活している時間とは同じ時を生きていても異なるという事です。
日本にいる周りの人よりも成長する人もいれば、途方に暮れる程周りとの差が開いてしまった人の2つのパターンがあるのです。
日本へ帰国した多くの人がよく言う言葉があります。それが『浦島太郎状態になっている』ということです。
これは二つの結果のうち、浦島太郎と同じように途方に暮れる程変わってしまっていて、日本社会に付いていけないということです。
理不尽な浦島太郎の物語は海外移住した日本人にも当てはまる事があるのです。
いい意味でも、悪い意味でも海外移住すると浦島太郎がタイムスリップしたような感覚に陥いるのです。
これが一つの浦島太郎の物語の教訓だと思います。
今現在も海外で生活している僕自身も浦島太郎と同じように日本に帰りたいと思うことがあります。
そして、僕自身が日本に出張、一時帰国する度に友人たちと会い、日本を離れた時とは異なっている彼らを目の当たりにします。
この浦島太郎の話は海外生活を続ける僕自身が強く考えさせられる話でもあるのです。
そして、今僕はこれから海外へ移住しようとしている人たちに伝えたい3つの事があります。
海外移住しようとしている日本人が行うべき3つのこと
1.竜宮城に行くなという事つまり、安易な気持ちで海外移住するなという事
浦島太郎は亀を助けたという良い事をして、そのお礼として竜宮城に行く事が出来ましたが、いく必要は無かったのではないかと思います。
未だこの話が何を伝えたかったのか定かではないですが、一つ言える事は何も目的がないままに浦島太郎は竜宮城に行ったということです。
たぶん、好奇心を抑えられなかったんだと思います。
これは海外移住しようとしている日本人にも似ている感情があるのではないでしょうか?
私自身も海外に出る前は大きな好奇心がありました。みな好奇心を持って海外に移住します。
しかし、海外移住する上で一番重要な事は海外に行く事ではなく、目的意識を持って生活する事です。
浦島太郎は、ただただ楽しい時間を過ごしてしまった。これが後の結果を生む理由になってしまったのです。
海外生活でも同じことが言えます。好奇心だけでなく海外に行くのではなく、しっかりした目的意識を持って海外に移住したほうが良いと強く伝えたいです。
目的意識がないのであれば、海外には安易な気持ちで移住するべきではないとこれから海外に出ようとしている人に伝えたいです。
2.竜宮城に行ったまま、帰るなという事つまり、辛くても目的を達成するまで海外で頑張れという事
海外に移住して、想像とは違ったという事で帰る人は一杯います。家庭の事情でやむなく帰る人もいます。海外移住して日本へ帰国する人は大勢いるのが実情です。
海外生活は簡単ではありません。面白い、刺激があるという大きなメリットもありますが、それとは逆に治安などデメリットも多くあります。日本へ帰国する理由は皆それぞれ千差万別で一概にいい悪いはありません。
しかし、一つ言える事はただ辛い、合わないという理由だけで日本へ帰国するなという事です。目的を達成するまで海外で頑張れと言うこと。
無理してまで海外にいる必要はないかもしれません。でも、僕はここは敢えて頑張れと言いたい。せっかく海外にまで出たのだから、諦めるなと言いたいです。
海外でどういった仕事、生活をするかによって先に説明した日本に帰国してしまった場合でも浦島太郎状態にはならず、日本でも活躍出来る、自信のある経験として胸を張って生きていけます。
海外生活は理想とは異なり、嫌な事もいっぱいあります。悩みもいっぱい出てくると思います。
しかし、重要な事は何があっても、前を見て、ただ前を見て、進むべきなのです。
海外で生活を続ける僕自身にも言える事ですが、これを僕自身にも海外に移住しようとしている人達にも強くつたえたいです。
3.たとえ、帰ったとしても、玉手箱を開けるなという事つまり、過去を振り返るなという事
例え日本に帰ったとしても、浦島太郎と同じように途方にくれず、玉手箱を開けるなということです。
なぜ、乙姫が玉手箱を浦島太郎に渡したか理由は分かりません。でも、浦島太郎にこの玉手箱を渡した際に絶対に開けるなと伝えてはいます。
未だこの玉手箱の意味が分かりませんが、僕は玉手箱は思い出だと解釈しています。
浦島太郎は地上に戻り、何もかも変わった世界にあっけにとられた後に玉手箱を開けています。そして、途方に暮れてしまいました。
多分、浦島太郎はこのあっけにとられた時に楽しかった竜宮城の時の事を思い出して、乙姫から貰った玉手箱を開ければ何かが変わると思ったのだと思います。
楽しい竜宮城の思い出か何か、変わり果てた現実世界と違った何かが手に入るのではないかと思ったのだと思います。
もし日本に帰ったとしても、楽しい思い出に浸るのではなく、日本でも過去を振り返らず、頑張って行くべきだと強く感じます。
これは今海外で生活している僕自身に伝えたい事です。
これから、自分は何があっても、前を見て、ただ前を見て、進みたいと強く思います。
最後に
今回皆さんに伝えたかったことは、海外移住するという事には大きなリスクがあるという事を浦島太郎の物語を重ね合わせてお話を書かせて頂きました。
海外移住をすると日本で生活していた事の多くを失います。
しかし、それ以上に得るものがあります。
海外移住には大きなリスクはありますが、刺激に溢れた世界です。日本に居ては経験出来ない事や難しい事にチャレンジすることが出来ます。
僕自身がいづれ日本に帰り、浦島太郎のように途方に暮れる老人のような人間になってしまうのか、
もしくは竜宮城に居続けるのか未だ分かりません。
ただし、一つだけ言えることは海外移住した先で一体あなたが何をするのかで大きく結果が異なってくるということです。
タイムマシンに乗って、未来に行くのか、過去に行くのかは全ては自分次第だという事です。
海外移住が目的ではなく、海外移住した先で一体何をするのか?目的意識を持つ事が非常に大事なのだと思います。
みなさんも海外移住して、浦島太郎の物語を実践してみては如何でしょうか?